自然災害要因とその変化
日本各地では昨今、近年にない自然災害に見舞われています。かねてより心配されていた高齢者・災害弱者の被災が現実のものとなる一方で、漠然と感じていた気象の変化を、ゲリラ豪雨をはじめとした強烈な雨の降り方や、過去に例を見ない台風の上陸回数を経験するに及び、今や現実のものとして受け止めざるを得ない状況となっています。
増加する集中豪雨
これまでの30年間を見てみると,最近の10年間(1997−2006年)では、短時間に集中的に雨が降る事例が明らかに多くなっています。気象庁の全国約1,300箇所あるアメダス観測点で観測したデータを基にすると、過去10年では、1時間で50mm以上の雨が観測された回数は3,132回(図表1-1参照)、1時間で100mm以上の雨が観測された事象は51回(図表1-2参照)となっており、前々の10年間(1977-1986年)と比べると、それぞれ約1.6倍、約2.3倍に増加しています。
出典:内閣府ホームページ (http://www.bousai.go.jp/kaigirep/hakusho/h19/bousai2007/html/honmon/hm01000101.htm)
最近の10年では、平成12年に東海豪雨、平成15年に九州北部を中心とした梅雨前線豪雨、平成16年には新潟や福井等での梅雨前線豪雨やそれまでの観測史上最多の6個の上陸を大幅に上回る10個の台風の上陸による各地での被害、平成17年には東京23区内において1時間の雨量が100mmを超える猛烈な雨による浸水被害、平成18年には中部、中国、九州地方において梅雨前線豪雨などが発生しています。
国が管理する1級河川や都道府県が管理する2級河川は、既に水位を監視する施設が取り付けてあるケースが多いですが、小河川や用水への設置は十分進んでいないのが現状です。
豪雨で川が氾濫し、土砂崩れなどの被害が起きていることから、水位監視のニーズが多くの自治体で高まっています。
私たちにできることがあります
「災害への備え方を今日的な視点で考え直す」という課題に対し、私達は「IoT(Internet of Things)」という選択肢で挑みました。
低消費電力で長距離通信が可能なLPWA(ローパワー ワイドエリア)通信技術の中でも評価の高いLoRAWAN™(ローラ ワン)を活用。八王子市の協力のもと、八王子市内を流れる小さな河川にLoRAWAN™水位計を19台、測定データを受信するLoRAWAN™ゲートウェイを、大学校、高等専門学校、小学校ならびに市役所関連施設、サポートを頂戴しているパートナー様宅、社屋などに22台設置いたしました(2017年12月25日現在)
※1 エリアを半径2kmとした場合 ※2 2018年度設置予定箇所を含む。
LoRAWAN™ゲートウェイは既に計画を上回る台数を設置。広い八王子市街地域ほぼ全域をカバーする広大なLoRaネットワークを実現しました。
IoTで防災を変える
現在、総務省が推進する『身近なIoTプロジェクト』施策の一環である「平成28年度第2次補正予算・IoTサービス創出支援事業」で、株式会社エイビットと株式会社M2Bコミュニケーションズの両社が連携。IoT技術を活用し、小さな河川の水位を監視する水害対策システムを構築しています。
また、拓殖大学で電子システム工学が専門の前山利幸教授に技術的なサポートを受け、測定した水位データをどのように活用できるか検証を行っています。